はじめに
こんにちは。プロジェクトマネジャーの丸山です。
最近、プロジェクトマネジメントに関する記事をたくさん見かけますが、 「社内システムのプロジェクトマネジメント」のテーマはそこまで出回ってないように思います。
そこで今回はレバレジーズの社内システムのプロジェクトマネジメントがどのように行われているのかを紹介します。
年商150億円を支える基幹システム!
プロジェクトマネジメントについて紹介する前に、対象のシステムについて紹介させて下さい。 営業活動を行う時に利用するシステムを社内の事業部に提供しています。この類を営業支援システム(SFA)と呼び、有名なものではセールスフォース・Hubspotなどがあります。
このシステムは、顧客管理・案件管理・進捗管理・書類管理・金銭管理といった基本的なSFAに付いている機能に加え、 連絡機能(電話・メール・LINEなど)やマーケティング情報の管理機能なども付いているので、営業だけでなく事業の全領域を支援しています。(よって基幹システムと題させて頂きました)
このシステムは、1つで4事業を支えています。看護師さんの紹介事業・派遣事業・介護士さんの紹介事業・派遣事業の4つです。 看護業界と介護業界の中身は異なる部分が多いですし、紹介事業と派遣事業のビジネスモデルも全く違いますが、人材業界という大きな枠組みでシステムを設計したことで、4事業の全領域を管理するシステムを作ることが出来ました。
このシステムが支援する4事業の年商は約150億円です。社員による月間アクセス数は250万PVとなります。
プロジェクトマネジメントをどのように行っているか??
それでは本題に入ります。 まず、全体の流れを簡単に示すと下記のようになります。
プランニング → 要件定義 → 基本・詳細設計 → 実装・テスト → 導入 → リリース → 効果測定 → プランニング
このサイクルをおよそ1ヶ月スパンで回しています。関係者が全員社内にいるため、コミュニケーション調整コストがほとんどかからない社内システムだからこそ、この短いスパンを実現出来ています。
それでは、各プロセスについて具体的に説明します。
プランニング
今後どのようなシステム改修をしていくか、4事業の責任者と話し合い、優先順位を付けます。
4事業の売上を最大化するために、事業部の全活動の中でどこを改善するべきか(事業課題)を話し合います。事業課題の中でシステム改修によって解決可能なものがあれば、「このような改修によってこの事業課題がこのくらいのインパクトで改善される」などの提案をします。採用された提案には優先順位を付け、優先度の高い改修のスケジュール調整を行います。
採用された提案の多くがプロジェクトマネジャー発案であり、エンジニアが考えてプロジェクトマネジャーに提供した提案も採用されています。 ほとんどの改修で、自分達がやる価値があると思ったことに取り組んでいるので、開発チーム全体のモチベーションが高く保てています。
要件定義
プランニングで決まったシステム改修案の要件を定義します。
関係者を集め、どのような改修をしようとしているか説明を行い、実現可能性・課題解決の方法・役割分担などについて話し合います。
営業関連の改修なら営業部のリーダー、マーケティング関連の改修ならマーケティング部の担当者と、集める関係者は改修案によって異なります。同じ会社の仲間なので、協力的に動いて下さる社員が多く、様々な領域のプロフェッショナルと意見交換が出来るので視野が広がります。
基本・詳細設計
要件をベースに基本・詳細設計をします。
基本・詳細設計は画面設計・入出力設計・機能設計・DB設計の4つで構成されています。画面設計は、関係者に要望をヒアリングしたりプロトタイプを見せたり意見交換をしながら行います。
要望をヒアリングした際に、4事業の文化の違いやチーム体制の違いにより意見が割れることも多いです。この場合には全ての要望を汲み取るべきか取捨選択するかを意思決定し、対立意見の関係者を説得することで意見を収束させます。
4事業を支えるシステムだからこそ、難しい部分もありますが、この苦労があるからこそ4事業を支えるシステムが成立します。
また、DB設計では4事業間の整合性を担保するために抽象化・正規化が適切に行われているかを細かくチェックします。最初は上手く設計が出来ませんでしたが、経験を経て上手く設計出来るようになりました。DB設計が上手くなっただけでなく、概念的に考える力がかなり成長したと感じます。
実装・テスト
実装・テストの実行はエンジニアが担当します。 プロジェクトマネジャーの担当はスケジューリングとサポートです。
開発チームでは2週間ごとに区切りをつける、スプリント形式で開発しています。スケジューリングとは、プランニングで定めた改修のスケジュールを守れるようにタスクをスプリントに割り振っていくことです。サポートとは、エンジニアに要件や基本・詳細設計を説明をしたり、開発で発生した問題を解決したり、実装・テストを進めるための支援活動のことを指します。
複数のプロジェクトが並行して走ることが多く、スケジューリングやリソース調整は大変になりますが、「スケジュール通りに開発を進める」という、プロジェクトマネジメントで一番基本となる能力の成長に繋がりました。
導入
全てのシステム利用者に改修内容を説明します。
要件定義や基本・詳細設計において全てのシステム利用者を巻き込むことは時間制約上不可能なので、改修に関する情報があまり伝わってないシステム利用者もいます。
その方々に向けて、「どのような事業課題に対してどのような改修をしたのか」を説明します。システムの最大の目的は「4事業の売上の最大化」であるため、それに基づいてシステム利用者が表面上不便に思う改修を行うこともあります。 そのような場合にも改修の理由を事前に説明して理解してもらうことで、システム利用者との信頼関係を保つことが出来ます。
システムへの関心が薄い相手もいる中で、まんべんなく理解を得ることは難しく、このプロセスも初めは苦戦しました。ただ、試行錯誤を重ねる内に分かりやすい説明と共感性の高いメッセージの発信が身について、システム改修について大部分の人に理解してもらえるようになりました。
リリース
エンジニアがリリース作業を行っている間にプロジェクトマネジャーがSlackでリリースを告知します。改修の内容が良ければ、告知後すぐにSlackのスタンプや称賛のコメントがたくさん返ってきます。反応が薄いときはもっと頑張らないとなと思いますし、反応があったときには純粋に嬉しい気持ちになります。
効果測定
システムのアクセスログや売上データを分析して、事業課題の改善インパクトを測定します。インパクトがプランニングで提案した時の基準に達していれば、システム改修によって事業課題を解決出来たと評価されます。
事業課題を解決出来た場合の達成感は、リリース時以上のものです。 リリース時の反応は重要であるものの指標の1つでしかなく、チームの最終的な使命は「事業課題の解決」と、それによる「4事業の売上の最大化」だからです。
事業課題を解決出来た際は、チームSlackで成果を共有し、達成の喜びを分かち合います。数多くの困難を共に潜り抜けたチームメンバーと共に達成の喜びを分かち合えたときは、全ての苦労が報われたように感じます。
効果測定が完了すると、その結果を踏まえて更なる事業課題が無いかプランニングで検討します。効果測定からプランニングに繋がることで、プロセスが循環しています。
まとめ
レバレジーズの基幹システムのPMとは、一言で表すと「4事業の売上最大化を目的としたシステム改修の仕掛け人」です。この仕事には主に2つの魅力があります。
システムの規模が大きいこと
扱っているシステムは基本的なSFAの枠組みを大きく超え、連絡機能(電話・メール・LINEなど)やマーケティング情報の管理機能などもついているので、事業の全てを支える基幹システムと言えます。そのうえ、ひとつのシステムで4事業、年商約150億円を支えています。
裁量権が大きいこと
システム開発において、上流として位置付けられる要件定義だけでなく、事業の責任者と事業課題を話し合うプランニングから参加しているため、システム開発に関する全ての意思決定について関わることが出来ます。
事業を成長させたい思いで自ら考え動かした改修案が、リリースされシステム利用者に喜ばれる、嬉しい経験も味わうことが出来ました。
4事業が関わるシステムなので、難しい意思決定が多いですが、コミュニケーション力や論理的思考力などのスキルの成長に繋がりました。
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