エンジニア生存戦略論と、生存に向けての場の提供

メディアシステム部 部長の久松です。

今回のテーマに関わってくるので自己紹介させて頂きますと 2000年からIT革命真っ只中のIT業界にインフラの研究開発から入り、20年が経とうとしています。

  • 20代 大学教員を目指す
    • インターネット動画配信、P2Pをテーマに研究員として活動
    • 博士進学翌年にリーマンショック、その後 事業仕分け・震災
  • 30歳 学術からビジネスへの転身
    • 博士取得と共にポスドクのポジションが無期延期になり、就活も難航し、就職課に「進路未定」で提出
    • 高学歴ワーキングプアとしてアルバイトプログラマに(額面で月給15万円)
    • ベンチャー企業に就職後、やがてインフラ責任者をやりながら気がつけばリクルーターに
  • 現職への転職
    • エンジニアの取りまとめの役割ですが、ほぼVPoE
    • エンジニア紹介事業のレバテックでは技術顧問としてエージェントの専門性向上を担当
    • エンジニアキャリアに悩んだり採用したりするうちに新卒・中途採用、オンボーディング、新卒・博士キャリアをテーマにしたセミナーをするようになる

今回は私が現在、レバレジーズ社員やエージェント教育の過程でお話しているエンジニアの生存戦略とその機会提供についてご紹介させて頂きます。

エンジニアを勤め上げるにあたっての脅威

人生100年時代と言われている中、年金の支給タイミングの後ろ倒しを加味すると80歳程度までは 何かしらのキャリアチェンジ・ジョブチェンジを繰り返しながら行きていく必要があります。 特にITエンジニアとしては

  • 技術トレンドの移り変わり
  • AIによる自動化
    • Sketch2CodeだったりAmazon CodeGuru Reviewerだったり足音は聞こえますね
  • 「巨人の肩の上」に乗ったできる若手
    • 構築がスムーズな開発環境、溢れる教材、溢れるソースコード、QA環境・・・
  • 海外からの高度人材
  • フリーランスやクラウドソーシングの一般化による有期のスポット人材の増加

を考えなければなりません。

生き残りやすいエンジニアの特徴

私自身が事業仕分けられたということで需要の底を経験したということもありますが、20年の間に

  • ITバブル
  • クラウドバブル
  • SNSバブル
  • ソーシャルゲームバブル
  • AIバブル

と各種のバブルと共に数多くのエンジニアの栄枯盛衰を見ることができ、生き残りやすいエンジニアの特徴が見えてきました(図)。 これを意識し、メディアシステム部のエンジニアには様々な機会に挑戦してもらっています。

エンジニア生存戦略

ベースとなる基礎知識

計算機の基礎、インターネットの基礎が挙げられます。特にインターネットの低レイヤについての知識はJavaScriptのフレームワークのようなハイレイヤーの技術に比べると革新速度はゆっくりですし、パケット交換方式は当面続きそうなので臆することなく身につけておくことをおすすめします。

専門性 2つを時流に合わせて変化

ヒトとは基本的に怠惰なものなので「可能であれば身につけた一つの技術で生涯食べていきたい」と思いがちです。 ただIT業界とは無情なもので5年程度でパラダイムシフトが発生し、身につけた技術は骨董品になります。 加えていかにも流行りそうな顔をして近づくバズワードというのもあります。

どちらか一方の専門分野が廃れても良いように2つの専門性、加えて時流に合わせて変化させることが必要です。

コミュニケーション力

他業種とのコミュニケーション力です。よくあるできるエンジニアの凋落パターンとして、

「いつも何をやっているのかよく分からないし、何を話しているか分からないし気難しそうなので話しかけにくいけど流行りの技術を身に着けているらしいので今は仲良くしておくと得だ」

と、周囲に思われているうちは需要があるものの、流行の終焉と共に周りから人が居なくなるというものです。

いざというときに周りに助けを求めるためにもコミュニケーションは取りましょう。転職してもフリーランスになっても繋がりは役に立ちます。

リーダーシップ、マネージメント、プレゼンテーション、教育、採用より2つ以上

いくつか補足をしておきます。

プレゼンテーション

プレゼンテーションはブログの投稿でも構いません。その人が何をしているかを自分以外に積極的に知ってもらう術を持っているかということです。

短期的には予算の出どころに対する説得や説明に繋がります。中期的には「指名をもらう」ことに繋がりますし、怠ると控え目に表現して「忘れられてしまう」ということになるケースも多くあります。  

教育

教育は自分の持っている技術や知識を後進に伝えられるかどうかです。特に知識の更新の早いIT業界では、知り得た事柄をまとめて周りに拡散していくという能力が強く求められるようになっています。

採用

採用はチームビルディングに繋がります。人材不足という中でどれだけ自分の属している組織に勧誘し、人を引き込むことができるかというスキルは年々高まっています。

まとめ

1990年前後の金融バブルを解説する専門家の間でも目にしますが「バブルの中に居る人はバブルだと思わない」と仰っしゃります。先に述べたIT界隈のバブルの中の人も、永遠の需要と反映を信じている人が多く居ましたが、今のエンジニア売り手市場もバブルですし弾けてから改めて認知されるでしょう。

良いのか悪いのか分かりませんが80歳まで労働しなければならないと仮定した場合、ジョブチェンジやキャリアチェンジを想定して生きなければなりません。   一つのヒントとして「これは自分の仕事じゃないな」という仕事が目の前に現れたとき、それを受け入れるか拒否するかというのが分かれ目になるのではないかなと考えています。

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