【Next.js】Server Side RenderingでABテスト(Google Optimize)を実装した話

はじめに

初めまして、レバレジーズ株式会社の小林といいます。
私は2022年4月に開発未経験でエンジニアとして中途入社し、teratailというサービスのフロントエンド開発とマーケティング周りの業務に携わっています。

teratailでは、昨年末にリプレイスを行ったこともあり分析基盤がきちんと整備されておらず、各種分析ツール(Google Analytics4やBigQuery、Google Optimizeなど)を導入する必要がありました。

中でも今回は、導入に特に苦労した「Next.jsのServer Side RenderingでABテストを実装した方法」について紹介したいと思います。

使用技術

今回の実装で使用する主な技術は以下の通りです。

  • Next.js
  • TypeScript
  • Recoil, React Context (状態管理)
  • Google Optimize (ABテスト)

背景

■なぜこの記事を書いたのか

  • 参考文献が少なかった
    通常のReactアプリ(SPA)のOptimize導入については参考文献が豊富ですが、Next.jsのServer Side Rendering時などにサーバー側からABテストを制御する方法に関しては文献が多くありませんでした。公式リファレンスを読んでも「???」な部分が多くあり、予想以上に詰まったため、同じような苦労をされている方は多いのではないかと思い記事にしました。

  • 今回の苦労を残しておきたかった
    このタスクを担当したときは入社3〜4ヶ月目の頃でしたが、開発経験ほぼゼロで入社した私にとっては難易度が高かったです。入社早々に今回のような貴重な経験ができたので、この苦労をここぞとばかりに共有したく、記事にしました。

■なぜ分析基盤を整備するのか

プロダクト自体は月間PV数が1,000万を超えており十分なデータが存在するにも関わらず、分析基盤が整っていないために、データドリブンに施策の立案や効果の検証が行えていないという課題がありました。 今後teratailが更にグロースしていく上で、データドリブンに意思決定を行える体制を作ることが必須だと考え、そのための分析基盤構築の一環としてABテスト環境を整えることとなりました。

■対象の読者

特に以下のような方々の参考となれば嬉しいです。

  • Next.js(SSR)でABテストを実装したいエンジニア
  • フロントエンドエンジニア
  • ABテスト担当者、マーケター等

前提知識

■Next.jsについて

プリレンダリング(ページにアクセスがあったときにサーバー側でJavaScriptを実行してHTMLを生成する)機能の一つで、SEO対策や高速なコンテンツ表示が可能となります。

  • 通常のReactアプリ(SPA)との違い
    通常のReactアプリ(Single Page Application)はブラウザ側でHTMLを生成するのに対し、SSRではサーバー側でHTMLを生成します。後述しますが、サーバー側で生成されるという点が、本記事の大きなポイントとなります。

■Google Optimizeについて

  • Google Optimizeとは
    Googleが提供する無償のABテストツールです。専用のタグをサイトに埋め込むだけで簡単にエクスペリエンス(=ABテスト)を実施することできます。エクスペリエンスやデータの集計は_gaexpというcookieで管理されます。

  • 管理画面でエクスペリエンスの実施が可能
    Google Optimizeの特徴として、ブラウザの管理画面で各種設定を行うことで簡単にABテストを実施することができる、という点が挙げられます。ノーコードでテストパターンの要素変更ができるため、非エンジニアでも気軽に操作することが可能です。

今回の問題点

通常、Google OptimizeのABテストはクライアント側で処理される仕様のため、サーバー側で機能を切り替えることができません。クライアント側でページの読み込み後に処理されるため、ABテストの実行(要素の変更)時にはどうしてもちらつき(ページフリック)が発生してしまいます。

今回、このちらつきを避けることや、管理画面側では設定できないようなABテストをプログラム側で実装することを考慮し、通常の方法ではなくサーバー側でOptimizeを使用する環境を整える必要がありました。

それではここから、本題の「Server Side RenderingとGoogle OptimizeでABテストを実装する方法」について説明していきます。

Server Side Rendering×OptimizeでABテストを実装する方法

■結論

Server Side RenderingでGoogleOptimizeのABテストを実装するためには、Optimizeのサーバーサイドテストの機能を使い、プログラム側とOptimize管理画面側でそれぞれ以下の項目を実装・設定する必要があります。

【プログラム側での実装】
1) テストパターンの割り当て
2) Optimize(GA)側にテストパターンを送信
3) テストパターンのグローバル管理、取得
4) コンテンツの出しわけ

【Optimize管理画面側での設定】
1)テストパターンの作成
2)ページターゲティング
3)その他

それぞれ説明していきます。

■プログラム側での実装

1) テストパターンの割り当て
まず、ABテストのseed値がCookieにあればCookieから取得、なければ生成する関数を定義します。
(※seed値にはuserIdを用いてもOKですが、今後「ログアウト⇨ログイン状態」をまたいだABテストを行うことも考慮し、userIdを利用せずにABテスト用にseed値を生成してパターンの振り分けを行うように実装しています。)

【abTestSeed.ts】

import { NextPageContext } from 'next';
import nookies, { parseCookies } from 'nookies';
 
export interface AbTestSeed {
 seed: string;
}
export const COOKIE_KEY_AB_TEST_SEED = 'abTestSeed';
 
const genRandomString = () => {
 return Math.random().toString(36).substring(2) + Math.random().toString(36).substring(2);
};
 
export const getOrCreateAbTestSeed = async (context: Pick<NextPageContext, 'req' | 'res'>): Promise<AbTestSeed> => {
 const cookies = parseCookies(context);
 
 if (COOKIE_KEY_AB_TEST_SEED in cookies && cookies[COOKIE_KEY_AB_TEST_SEED]) {
   return {
     seed: cookies[COOKIE_KEY_AB_TEST_SEED],
   };
 }
 
 const seed = genRandomString();
 nookies.set(context, COOKIE_KEY_AB_TEST_SEED, seed, {
   maxAge: 5 * 365,
   path: '/',
   httpOnly: false,
   sameSite: 'lax',
 });
 return {
   seed,
 };
};

次に、今回のエクスペリエンスをSAMPLE_TESTとし、以下の項目を設定します。

  • テストを開始するページ: トップページ
  • テストパターンの数: 2
  • テスト対象の割合: 全てのユーザー

【abTestSetting.ts】

export interface AbTestSetting {
 experimentId: string; // OptimizeのエクスペリエンスID
 triggerPaths?: RegExp[]; // テスト開始をトリガーするPathを指定
 numOfVariants?: number; // テストパターンの数
 targetRatio?: number; // 対象とするユーザーの割合。0~1で設定
}
 
// 全てのクエリを含む、トップページが対象
const TopPageRegex = /^\/(\?.*)?$/;
 
export const SAMPLE_TEST = {
 experimentId: 'XXXXXXXXXXXXXXXX',
 numOfVariants: 2,
 targetRatio: 1,
 triggerPaths: TopPageRegex;
};
 
export const ABTests: AbTestSetting[] = [SAMPLE_TEST];

今後複数のエクスペリエンスを実行することを考慮し、ABTestsという変数に配列で格納しておきます。

次に、abTestSeedを受け取ってテストパターンを返す関数を定義します。
OptimizeABテスト用のReact Contextも作成しておきます(詳細は後述します)。

【abTestState.ts】

import { createContext } from 'react'; 
import { ABTests, AbTestSetting } from './ABTestSettings';
import * as crypto from 'crypto';
import * as hashSha256 from 'sha256-uint8array';
 
export type ABTestVariant = {
 experimentId: string;
 variant: number;
};
 
// テストパターンを決定する
export const determineVariantsForPath = (path: string, seed: string): ABTestVariant[] => {
 const abTests = ABTests.filter((setting) => {
   if (!setting.triggerPaths) {
     return true;
   }
   return setting.triggerPaths.some((pattern) => pattern.test(path));
 });
 return _determinVariants(abTests, seed);
};
 
const _determinVariants = (abTests: AbTestSetting[], seed: string): ABTestVariant[] => {
 const variants = abTests
   .map((setting) => {
     return {
       experimentId: setting.experimentId,
       variant: determineVariant(setting, seed),
     };
   })
   .filter((variant) => variant.variant !== NO_VARIANTS);
 return variants;
};
 
const UINT_MAX = 4294967295;
export const NO_VARIANTS = -1;
 
export const determineVariant = (setting: AbTestSetting, seed: string) => {
 //Seed値をハッシュ化させてパターンを割り振る
 const digest = hashSha256.createHash().update(`${setting
.experimentId}-${seed}`).digest().buffer;
 const patternBase = new DataView(digest.slice(0, 4)).getUint32(0);
 const numOfPatterns = setting.numOfVariants || 2;
 const targetRatio = setting.targetRatio || 1;
 const pattern = patternBase % numOfPatterns;
 
 if (targetRatio >= 1) {
   return pattern;
 } else {
   // 比率が1ではない場合は、4~8byte目を使用する
   const ratioBase = new DataView(digest.slice(4, 8)).getUint32(0) / UINT_MAX;
   if (ratioBase < targetRatio) {
     return pattern;
   } else {
     return NO_VARIANTS;
   }
 }
};
 
//グローバルで状態管理するためにReact Contextを使用
export const ABTestContext = createContext({
 seed: 'empty',
});
 
//テストパターンを取得。実際にABテストを実施するコンポーネントで使用する
export const getVariant = (setting: AbTestSetting): number => {
 const seed = useContext(ABTestContext).seed;
 const variant = determineVariant(setting, seed);
 if (variant !== NO_VARIANTS) {
   return variant;
 } else {
   return undefined;
 }
};

2) Optimizeにテストパターンを送信
abTestSeedを取得する関数を_app.tsx内で実行し、メタ要素を管理するMetadataコンポーネントに渡します。

【_app.tsx】

import { NextPageContext } from 'next';
import { useRouter } from 'next/router';
import Metadata from './Metadata';
import { determineVariantsForPath } from './ABTestState';
 
const App = ({ Component, pageProps, abTestSeed }) => {
 const router = useRouter();
 return (
   <>
     <Metadata
       abTestVariants={determineVariantsForPath(router.asPath, abTestSeed)}
     />
     <Component {...pageProps} />
   </>
 );
};
 
App.getInitialProps = async (appContext: AppContext) => {
 const abTestSeed = await getOrCreateAbTestSeed(appContext.ctx);
 
 return { abTestSeed: abTestSeed.seed };
};
 
export default App;

【Metadata.tsx】

import React from 'react';
import Script from 'next/script';
import { ABTestVariant } from './ABTestState';
 
const googleAnalyticsTrackingId = 'YYYYYYYYYYYYYYY'
const googleOptimizeTrackingId = 'ZZZZZZZZZZZZZZZ'
 
interface MetadataProps {
 abTestVariants: ABTestVariant[];
}
 
const Metadata: React.FC<MetadataProps> = (props) => {
 return (
   <>
     <Script src={`https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=${googleAnalyticsTrackingId}`}
     />
     <Script
       id="gtag-snippet"
       strategy="afterInteractive"
       dangerouslySetInnerHTML={{
         __html: `
           window.dataLayer = window.dataLayer || [];
           function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
           gtag('js', new Date());
           gtag('config', '${googleAnalyticsTrackingId}', {
            page_path: window.location.pathname,
            experiments: [${props.abTestVariants
       .map((variant) => {
         return `{ id:'${variant.experimentId}', variant:'${variant.variant}' 
      }`;
       })
       .join(',')}],
     });
       `,
       }}
     />
   </>
 );
};
 
export default Metadata;

これで、トップページにアクセスがあったタイミングでOptimizeにデータが送信されるようになります。

3) テストパターンのグローバル管理、取得
(2)で記述した_app.tsxのコンポーネントをReact Contextでラップすることで、テストパターンをグローバルで状態管理します。

【_app.tsx】

import { ABTestContext} from './ABTestState';
 
//...省略...
 
return (
   <ABTestContext.Provider value={{ seed: abTestSeed }}>
     <GoogleAnalyticsMetadata
       abTestVariants={determineVariant(abTestSeed)}
     />
     <Component {...pageProps} />
   </ABTestContext.Provider>
 );
};
 
//...省略...

私たちのプロダクトでは状態管理にRecoilを使用していますが、Recoilの場合、RecoilRootごと(各ページごと)に状態が分割しているためテストパターンを全体で共有できず、React Contextを使用するようにしました。

4) コンテンツの出し分け
最後は実際の表示部分です。
テストパターンを取得し、表示を出しわけます。

【SampleComponent.tsx】

import React from 'react';
import { getVariant } from './ABTestState';
import { SAMPLE_TEST } from './ABTestSettings';
 
const pattern = ['オリジナル','パターンA']
 
const SampleComponent: React.FC = (props) => {
 const variant = getVariant(SAMPLE_TEST);
 
 return (
   <>
     <p>{pattern[variant]}</>
   <>
 );
};
 
export default SampleComponent;

上記のコンポーネントでは、テストパターンが0だと「オリジナル」、1だと「パターン1」が表示されるようになります。

※実施するABテストの内容によっては、コンポーネント自体を別で作って表示を出し分けるような実装でもいいかと思います。テスト内容に応じて調整ください。

以上がプログラム側で必要な実装となります。

■Optimize側での実装

Optimize側で必要な設定は主に以下の2つです。

1) テストパターンの作成
ABテストに必要な数だけパターンを作成します。 テストの実装は全てプログラム側で行っているため、編集ボタンでの操作は一切不要です。パターンを作成するだけでOKです。

2)ページターゲティングの設定
存在しないサイトのURLを入力してください。正式なURLを入力してしまうとエクスペリエンスがOptimize側で自動的に開始されてしまい、プログラム側で実装した処理よりも優先して開始されてしまいます。ここでは公式リファレンスを参考にして「SERVER_SIDE」と入力しています。画像のようなWarningが出ますが、無視でOKです。

その他
それ以外に必要な設定は特にありません。管理画面にはトラフィックの割り当てやアクティベーションイベントなどを設定する項目がありますが、今回のサーバーサイドでのABテストの場合、それらは全てプログラム側で設定することになるため管理画面側での設定は不要です。

あとは、GAとの連携やOptimizeのインストールが済んでいればエクスペリエンスの開始が可能なので、「開始」ボタンをクリックしてエクスペリエンスを開始させてください。プログラム側からデータが正常に送られているとデータが集計されます。

設定は以上となります。

■ハマった点

  • gtag.jsでのデータ送信
    Googleの測定サービスにデータを送信するにはgtag.jsというフレームワークを使いますが、公式のサンプルコードではgtag.jsの’set’ディレクティブが記述されているものの、今回の実装だとデータが送信されませんでした。結局’config’ディレクティブに変更して上手くいきましたが、かなり詰まりました。

  • 管理画面側で必要な設定項目
    通常のReactアプリ(SPA)でのOptimize実装の文献を読むと「アクティベーションイベントを設定してプログラム側でuseEffectで呼び出す〜」といった説明がありますが、サーバーサイドでのテストの場合はこれらの設定は一切不要です。 上述の通り、管理画面側で必要な設定は主に2つのみです。管理画面はあくまでABテストを行うためだけの土台作りのイメージ、ということを認識する必要がありました。

  • 状態管理
    状態管理にはRecoilを使用していますが、私たちのプロダクトでは各ページごとにRecoil Rootで状態を分割しているため、テストパターンの値を全体で共有できませんでした。React Contextを使うことで解決しました。

  • ABTestSeed生成のタイミング
    該当ページにアクセスした時にseed値を生成するようにすると、複数ページにまたがるABテストを実行する場合に矛盾が生じてしまいます。
    例)/hogeと/fugaで同一のテストを行いたい場合、/hogeにアクセス(オリジナル) ⇨ /fugaに遷移(テスト発火) ⇨ /hogeにアクセス(パターンA) のように、同じユーザーに対して/hogeの表示内容が変わってしまう可能性があります。
    なのでABTestSeedの生成を_app.tsxで実行することで、全てのページにアクセスがあったタイミングでseed値の生成をするようにしています。

■懸念点

  • ブラウザ(Optimize管理画面)側でテストの稼働を制御できない
    ABテストを中断するにはプログラムを修正する必要があります。管理画面でエクスペリエンスを停止すると結果の集計はされなくなりますが、テスト自体はプログラム側で実装しているため、プログラムを修正しない限り継続して稼働し続けてしまいます。 対策として、DBにテストの稼働を管理するためのデータを持たせて制御するような仕組みを検討していく必要があると考えています。

最後に

いかがでしたでしょうか。

Server Side RenderingでのABテストの実装は参考文献が少なく、詰まった部分がとても多かったですが、今回無事に実装できてよかったです。これでABテストを行う基盤が整ったので、今後は実際にテストを沢山まわしてプロダクトの分析・グロースに繋げていければと思います。

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Reactにおける責務(UI/ロジック)の切り分け

はじめに

初めまして、レバレジーズ株式会社FEエンジニアの森山です。
今回は、React開発におけるコンポーネントの定義方法の1つの解をご紹介します。

結論

結論を簡潔に記載すると以下です。
  • ロジックをUIロジックと業務ロジックに切り分ける。
  • UIとUIロジックは密結合させて再利用性を高める。
  • UIと業務ロジックは疎結合にして再利用性を高める。
背景や具体的な例は後述します。

なぜこの記事を書いたのか

私が調べた限りではReactにおけるコンポーネントの定義方法におけるベストプラクティスが存在しないからです。

Reactの公式ドキュメントにおいてもコンポーネントの定義方法の方針は記載が無いかと思います。これはReactの思想として開発者がプロジェクトの規模や特性を考慮してある程度の自由度を持って開発できることを尊重したのではないかと考えています。

自由度が高いと開発方法の手段が増えます。手段が多いのでどの開発方法がベストなのかReactの開発者も日々、様々な開発手段を試行錯誤しブログを執筆したり、議論しています。

プロジェクトに合わせて最適な手段を選択できる余地があるのは良いことです。
しかし、その自由度の高さをそのままにしておく。

つまりコンポーネントの定義ルールが曖昧な状態でプロジェクトが進むと以下のようなことが起きる可能性があります。
  • 開発者が各々、自由に開発を進める。
  • システム内に様々なコンポーネント実装の流派が生まれ、自分の実装が正しいか判断できなくなる。
  • 実装方法の正解が分からず、何をどこに書くべきか自信がないため実装スピードが落ちる。
  • 修正を加える度に複雑さが増し、再利用性も低下する。
  • 最終的にプロジェクト当初では1時間と見積もっていた規模の修正タスクに3時間かかってしまう。
上記を払拭するためにも、FEエンジニアが納得感を持ってコンポーネント実装ができるルールを作る必要がありました。

コンポーネント実装における課題はUIとロジックの関係性

よく議論されるのは以下です。
  • コンポーネントのUIとロジックを密結合にするのか、疎結合にするのか。
  • 疎結合の場合はHooksを活用するのか、コンポーネント自体を分けるのか。

そもそもReactにおけるロジックとは何か?

そもそもこの記事においてのReactにおけるロジックとはreturnでDOMを返す前の処理やUIの表示分岐のことです。
const Component = () => {

  const [state, setState] = useState(true);
  const data = fetch('https://api.endpoint');
  // ...
  // ここから上がロジック
  return (
    <>
      <h1>{data.title}</h1>

      <!-- UI表示の分岐ロジック -->
      <p>{state ? 'on' : 'off' }</p>
    </>
  )
}
一言でロジックと言っても、以下の2種類に分類できると考えています。
  • UIロジック
  • 業務ロジック

UIロジック

UIロジックとは、UIの制御のみを目的としたロジックです。

具体例としては以下の様な挙動が挙げられます。
  • トグルボタンのon/offの制御
  • プルダウンの開閉の制御
const Toggle = ({ isActive }) => {
  return isActive ? <ActiveToggle/> : <InActiveToggle/>
}
UIロジックは、「業務に依存しない」純粋なUIのふるまいの制御になります。

業務ロジック

業務ロジックとは業務ルールを実現するためのロジックです。

表示する数値に単位を付ける等の業務独自の「表示データの整形」や、「APIの発行」等が該当します。
const Price = () => {
  const { data } = fetch('https://api.endpoint');

  const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost } = data;
  const basePrice = quantity * unitPrice;
  const price = (basePrice + shippingCost) * taxRate;
  return (
    <>
      <h1>価格: {price}円</h1>
      <p>内訳</p>
      <ul>
          <li>個数: {quantity}個</li>
          <li>単価: {unitPrice}円</li>
          <li>税率: {taxRate}%</li>
          <li>送料: {shippingCost}円</li>
      </ul>
    </>
  )
}

UIとロジックの密結合、疎結合の使い分け

UIとロジックは必ずしも「密結合が良い」とか「疎結合が良い」とは言い切れません。

前述したロジックの分類(UIロジックと業務ロジック)によって変わるかと思います。 コンポーネント単体で見るときれいに切り分けられている記事も見かけます。

しかしその1部品をルール化してプロジェクト全体に適応しようとすると、プロジェクトの規模や業務ロジックの複雑さも起因してどうしてもルールを守るのが苦しい場面に遭遇します。そして苦しいながらもルールを守るために、意味もなく複雑度の高いコンポーネントが生み出されます。

上手くUIとロジックの関係性をルール化するためにはロジックの分類を考慮する必要があります。

私の考えでは以下の使い分けが望ましいです。
  • UIとUIロジックは密結合
  • UIと業務ロジックは疎結合
  • UIロジックと業務ロジックは疎結合
  • 具体的な実装例

    具体的にどのように実装すべきか一般的なAtomic designに沿った分類のコードで説明します。

    まず各コンポーネントの区分けは以下になります。
    ※ templatesとpagesはここでは省きます。
    • atoms
      • コンポーネントの最小単位。
      • ロジックは持たない。
      • ステートレスなコンポーネント。
      • システム全体で流用できる。
    • molecules
      • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
      • UIロジックを持つことがある。
      • ステートレスなコンポーネント。
      • システム全体で流用できる。
    • organisms
      • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
      • 業務のドメイン情報をDOMに持つことがある。
      • そのためシステム全体で流用できるとは限らない。
      • APIとの疎通や業務ロジックを持つことがある。
      • そのためステートレスとは限らない。

    atoms

    // アクティブなラジオボタン
    const ActiveRadio = () => {
      return (
        <div style={{
          width: 15px;
          height: 15px;
          backgroundColor: white;
          border: 1px solid black;
          borderRadius: 10px;
          display: flex;
          alignItems: center;
          justifyContent: center;
        }}>
          <span style={{
            width: 5px;
            height: 5px;
            backgroundColor: blue;
            borderRadius: 10px;
          }} />
        </div>
      )
    }
    const Title = ({ text }) => {
      return <h1 style={{ fontSize: 20px }}>{text}</h1>
    }

    atomsの特徴

  • コンポーネントの最小単位。
  • ロジックは持たない。
  • ステートレスなコンポーネント。
  • システム全体で流用される。
  • atoms実装の注意点

    atomsでは基本的にreturnの上にロジックが書かれることはありません。

    というのも意識的にロジックを書かないというよりかは、「最小単位」のコンポーネントなので責務も小さく自然と書く必要がなくなるイメージです。

    ロジックを書く必要がある場合はそのatomsは「最小単位」として扱うべきでない可能性があります。
    更に最小のコンポーネントになり得ないかを疑う余地があるかと思います。

    molecules

    import { ActiveRadio, InActiveRadio } from '~/atoms/radio';
    
    // on/offができるラジオボタン
    const Radio = ({ isActive }) => {
      return isActive ? <ActiveRadio /> : <InActiveRadio />
    }
    import { Button } from '~/atoms/button';
    
    // ファイルアップロードフォーム & ボタン
    const FileUpload = ({ name, text }) => {
      const ref = useRef(null);
      const onClickInput = () => ref.current.click();
    
      return (
        <>
          <Button onClick={onClickInput} >{text}</Button>
          <input hidden name={name} ref={ref} type="file" />
        </>
      );
    }

    moleculesの特徴

  • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
  • UIロジックを持つことがある。
  • ステートレスなコンポーネント。
  • システム全体で流用される。

  • 上記のラジオボタンのようにコード量が少なくても「他のコンポーネントに依存」していればmoleculesに該当します。
    ここがatomsとmoleculesの一番の違いです。

    molecules実装の注意点①

    moleculesにおけるUIロジックとUIは前述の通り「密結合」にするのが望ましいです。

    なぜなら、依存関係が簡潔になりやすいためです。

    例えば、以下のようにUIロジックをCustom hookで共通化したとします。

    全てのpulldownに共通する処理
    // usePulldown.ts
    export const usePulldown = () => {
        return ...
    }
    一般的なプルダウン
    // Pulldown.tsx
    const Pulldown = () => {
      const pulldownProps = usePulldown()
      return <Pulldown {...plldownProps}/>
    }
    検索可能なプルダウン
    // SearchPulldown.tsx
    const SearchPulldown = () => {
      const pulldownProps = usePulldown()
      // ... SearchPulldown独自のロジック
      return (
        <>
          <!-- other component -->
          <Pulldown {...plldownProps}/>
        </>
      )
    }
    複数選択可能なプルダウン
    // MultiPulldown.tsx
    const MultiPulldown = () => {
      const pulldownProps = usePulldown()
      // ... MultiPulldown独自のロジック
      return (
        <>
          <!-- other component -->
          <Pulldown {...plldownProps}/>
        </>
      )
    }
    ここでusePulldownの処理の中でSearchPulldown.tsxのみに例外的な処理の追加が必要になったとします。

    根本的な対処としてはusePulldownの中から例外的な処理が入る部分を切り出して他のPulldownMultiPulldownにも変更箇所のコードを移植することになるかと思います。

    しかし元々一元管理されていたコードをわざわざ重複させる書き方はDRY原則にも反します。

    大抵は以下のようにif文を一行入れて例外的な処理を走らせるような直感的な対処をしてしまいます。
    // usePulldown.ts
    export const usePulldown = (type) => {
    +    if(type === 'searchPulldown') doSomething();
        return ...
    }
    依存される側のusePulldownが依存する側のコンポーネントの情報を保持することになります。

    こうなると双方向に依存が発生し依存関係がおかしなことになります。

    これはReactによらずプログラミング全般として良くない実装かと思います。

    しかしReact開発で上記のように似たようなふるまいのコンポーネントが複数生成されて開発規模が大きくなると自然とやってしまいがちです。

    そもそもこういった修正が発生しないためにも「UIロジック」と「DOM」は密結合に実装し、コンポーネント同士の独立性を高める方が各コンポーネントの拡張性も高くなります。

    molecules層で複雑なUIのふるまいを持つことは少ないので1ファイルに「UIロジック」と「DOM」を密結合に実装しても50行前後に収めて可読性を担保することも可能なはずです。

    molecules実装の注意点②

    moleculesコンポーネントはシステム全体で活用できるレベルの再利用性を持つことが望ましいです。

    システム全体で活用できるとは特定の業務ドメインに縛られないということです。

    例えば以下のファイルアップロードボタンは汎用性が高く基本的にどんな場面でも活用できるかと思います。
    import { Button } from '~/atoms/button';
    
    // ファイルアップロードフォーム & ボタン
    const FileUpload = ({ name, text }) => {
      const ref = useRef(null);
      const onClickInput = () => ref.current.click();
    
      return (
        <>
          <Button onClick={onClickInput} >{text}</Button>
          <input hidden name={name} ref={ref} type="file" />
        </>
      );
    }
    逆に特定の業務ドメインに縛られているとは以下のような状態です。

    違いはボタンの名前が固定値になっただけです。
    import { Button } from '~/atoms/button';
    
    // ファイルアップロードフォーム & ボタン
    const FileUpload = ({ name }) => {
      const ref = useRef(null);
      const onClickInput = () => ref.current.click();
    
      return (
        <>
          <Button onClick={onClickInput} >プロフィール画像のアップロード</Button>
          <input hidden name={name} ref={ref} type="file" />
        </>
      );
    }
    どんなシステムを開発しているかの前提もないですが、 上記のファイルアップロードボタンはユーザ情報の登録や編集を担う画面でしか活用できないコンポーネントになることが想像できます。

    もしシステムが商品登録等の機能を持っていたらそちらでもファイルアップロードボタンは必要になりそうです。

    しかし上記のように「特定の業務ドメイン」に限定されたコンポーネントだと再利用はできません。

    再利用性の低いコンポーネントがmoleculesレベルで存在しているとシステムの規模が大きくなった時に以下のどちらかの苦しい対処が発生します。

  • 利用箇所が限定的なコンポーネントが極端に増える
  • 無理くりatomsをpages内で組み合わせて実装

  • なのでmoleculesでは特定の業務ドメインに縛られないコンポーネントであるべきです。

    特定の業務ドメインとは何か

    特定の業務ドメインとは何かについてさらに詳しく触れます。

    単純に「業務ドメイン」とは言わずに「特定の業務ドメイン」と呼んでいるのには意味があります。

    極端な例ですが、開発するシステムが商品管理システムでそれ以外の情報を扱わなかったとします。
    • 商品管理システム
      • 商品登録機能
      • 商品編集機能
      • 商品削除機能
    この場合には、特定の業務ドメインは「商品登録機能、商品編集機能、商品削除機能」が該当します。

    なので以下のようなコンポーネントが実装されてもシステム全体で活用できるのでmoleculesとして成立します。
    import { Button } from '~/atoms/button';
    
    // ファイルアップロードフォーム & ボタン
    const FileUpload = ({ name }) => {
      const ref = useRef(null);
      const onClickInput = () => ref.current.click();
    
      return (
        <>
          <Button onClick={onClickInput} >商品画像のアップロード</Button>
          <input hidden name={name} ref={ref} type="file" />
        </>
      );
    }
    ただシステムが以下のような構成だと上記のコンポーネントはmoleculesとして成立しません。
    • フリーマーケットシステム
      • ユーザ管理機能
        • 登録、編集、削除
      • 商品管理機能
        • 登録、編集、削除

    molecules実装の注意点まとめ

    長くなりましたが特に注意すべきは以下の2点です。

  • UIとUIロジックが密結合になっていること
  • 特定の業務ドメインに縛られないこと
  • organisms

    import { Title, Paragraph } from '~/atoms'
    import { PriceList } from '~/molecules/PriceList'
    
    // 価格
    const Price = () => {
      const { data } = fetch('https://api.endpoint')
    
      const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost } = data;
      const basePrice = quantity * unitPrice;
      const price = (basePrice + shippingCost) * taxRate;
      return (
        <>
          <Title>価格: {price}円</Title>
          <Paragraph>内訳</Paragraph>
          <PriceList
            quantity={quantity}
            taxRate={taxRate}
            shippingCost={shippingCost}
          />
        </>
      )
    }

    organismsの特徴

  • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
  • 業務のドメイン情報をDOMに持つことがある。
  • APIとの疎通や業務ロジックを持つことがある。
  • organismsの実装の注意点

    業務ロジックとUI(DOM)を疎結合にすることです。

    organismsは上記の例のように業務ロジックや業務のドメイン情報をDOMに持ちます。

    ただ上記のコード例は悪い例です。

    以下のように業務ロジックとUIが密結合していると悪い点が3点あります。
    1. 再利用性の低下
    2. データ構造が見えない
    3. 業務ロジックをDOM上で実装できてしまう
    1. 再利用性の低下
    業務ロジックとUIが密結合しているのでUIを再利用したくても限られた場面でしか活用できません。

    2. データ構造が見えない
    コンポーネントにpropsが存在しないので最終的にどんな構造のデータをレンダリングされるのか読み取るためにはDOMを全て読み解く必要があります。上記のコードはまだシンプルですがDOMの中で条件分岐が発生したりコード量が増えるとかなりしんどくなります。

    3. 業務ロジックをDOM上で実装できてしまう
    業務ロジックがDOM上に実装されると、ロジックの記載場所が以下の2パターンになります。
  • returnより上
  • DOMの中

  • 書く場所が複数ありルールも存在しないと開発する時にどちらに書くべきか迷いが生まれます。

    例えば、先程提示したコードにおいて業務上の仕様が変わって会員の時は「価格が10%off」になるという業務ロジックが加わったとします。

    一番手っ取り早くしようとすると最終的にレンダリングされている価格に計算処理を加える実装になりそうです。
    import { Title } from '~/atoms/Title'
    import { PriceList } from '~/molecules/PriceList'
    
    // 価格
    const Price = () => {
      const { data } = fetch('https://api.endpoint')
    
    -  const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost } = data
    +  const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost, isMember } = data
      cons t basePrice = quantity 
  • cons unitPrice t price = (basePrice + shippingCost)
  • taxRate return ( <> - <Title>価格: {price}円</Title> + <Title>価格: {isMember ? price * 0.9 : price} <p>内訳</p> <PriceList quantity={quantity} taxRate={taxRate} shippingCost={shippingCost} /> </> ) }
    この例ではコードの行数が短いですが、実際のorganismsコンポーネントになるとコードの行数が長くなりがちで自然とこういった楽な実装に流されることが多いです。
    そして何より厄介なのは上記の例のように三項演算子1つだと対して悪くなさそうに見えることです。

    これに更にもう一種類、ゴールド会員が追加されるとどうでしょうか?
    import { Title } from '~/atoms/Title'
    import { PriceList } from '~/molecules/PriceList'
    
    // 価格
    const Price = () => {
      const { data } = fetch('https://api.endpoint')
    
    -  const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost, isMember } = data
    +  const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost, isMember, isGoldMember } = data
      cons t basePrice = quantity 
  • cons unitPrice t price = (basePrice + shippingCost)
  • taxRate return ( <> - <Title>価格: {isMember ? price * 0.9 : price} + <Title>価格: {isGoldMember + ? price * 0.8 + : isMember + ? price * 0.9 + : price + }円 <p>内訳</p> <PriceList quantity={quantity} taxRate={taxRate} shippingCost={shippingCost} /> </> ) }
    元々のコードでDOMに三項演算子が実装されていると自然とそこに追加する実装をしてしまうことがあると思います。

    こうなると業務ロジックがreturnの上だけでなくDOMの中にも存在することになります。

    ロジックの実装箇所がルールもなく複数箇所になることで可読性が一気に落ちます。

    DOMを再利用するために別ファイルに切り出そうとしてもロジックを含むことで単純にDOMだけを切り出すこともできなくなります。

    打開策

    上記の良くない2点を打開するためには、業務ロジックとUIを疎結合にする必要があります。

    具体的には、organismsの中でもコンポーネントを2つに分けます。
    organisms/
        ├ Presentations/
        │  └ Price.tsx (UIを責務としたコンポーネント)
        │
        └ Containers/
            └ PriceContainer.tsx (業務ロジックを責務としたコンポーネント)
    

    今後、2つのコンポーネントは以下の呼び方をします。
  • UIを責務としたコンポーネント: Presentational Components
  • 業務ロジックを責務としたコンポーネント: Container Components
  • PresentationalComponents

    // organisms/Price.tsx
    
    import { Title } from '~/atoms/Title'
    import { PriceList } from '~/molecules/PriceList'
    
    // 価格
    const Price = ({
      price,
      quantity,
      taxRate,
      shippingCost
    }) => {
      return (
        <>
          <Title>価格: {price}円</Title>
          <p>内訳</p>
          <PriceList
            quantity={quantity}
            taxRate={taxRate}
            shippingCost={shippingCost}
          />
        </>
      )
    }

    PresentationalComponentsの特徴

    ステートレスなコンポーネントで「どのようにデータを表示するか?」を責務とします。

    UI表示のみが責任範囲として切り出されているので別の場所で再利用も可能になります。
    PresentationalCompornentsは業務ロジックを持たないため、storybook等のUIのライブラリ化も容易にできます。 propsが表示すべきデータの構造そのものになります。

    PresentationalComponents実装の注意点

    propsをAPIのデータ構造に依存させないことです。

    あくまでも「どのようにデータを表示するか?」に注目します。
    APIのデータ構造に依存するとUIの構造とデータ構造が乖離して苦しい実装を強いられたりします。 APIのデータ構造の変更が頻発し、FEの改修工数が増えるとBE側がFEの負荷を軽減するためにUIドリブンなAPI定義を意識したりします。

    そうなってしまうとBE実装がUIに引っ張られて業務ドメインに沿った実装ができずFEもBEも拡張性の低い実装になったりしてしまいます。

    ContainerComponents

    // organisms/PriceContainer.tsx
    const PriceContainer = () => {
      const { data } = fetch('https://api.endpoint')
    
      const { quantity, unitPrice ,taxRate, shippingCost } = data;
      const basePrice = quantity * unitPrice;
      const price = (basePrice + shippingCost) * taxRate;
      return (
        <Price
            price={price}
            quantity={quantity}
            taxRate={taxRate}
            shippingCost={shippingCost} />
      )
    }

    ContainerComponentsの特徴

    業務ロジックの実装に着目したコンポーネントになります。

    どう表示されるかの責任はすべてPresentationalComponentsに委ねます。
    ContainerComponentsでは位置の調整や余白のためにスタイルを当てることもありません。

    Presentational/Container Componentsの実装方針

    organismsの中でもPresentationalComponentsContainerComponentsはディレクトリも区分けして明確に違うものとして定義しておくのが良いです。

    そうすることで修正が必要な場合にどちらのコンポーネントを修正すべきかも明確に判断が付きます。
    ただコンポーネントの実装を始める前からPresentational/Container Componentsをどういった構造にすべきか設計することは難易度が非常に高いです。 まずはPresentational Componentsをひたすら実装していき、画面まで実装するのが望ましいです。 その後APIをpagesコンポーネントで繋ぎこみます。 pagesでAPIを発行するとorganismsのPresentational Componentsを辿って末端のatomsコンポーネントまでデータをバケツリレーしていくことになります。 この時にpropsとして受け取ったデータを無加工でそのまま更に末端のコンポーネントに渡す場面が発生するはずです。 その場面でContainer Componentsの実装を検討していくというのが手戻りを少なくできます。

    結論

    まとめですが、結論以下のような構成・ルールでコンポーネントを分割しました。

    • atoms
      • コンポーネントの最小単位。
      • ロジックは持たない。
      • ステートレスなコンポーネント。
      • システム全体で流用できる。
    • molecules
      • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
      • UIロジックを持つことがある。
      • ステートレスなコンポーネント。
      • システム全体で流用できる。
    • organisms
      • atoms、moleculesの複合コンポーネント。
      • 業務のドメイン情報をDOMに持つことがある。
      • そのためシステム全体で流用できるとは限らない。
      • APIとの疎通や業務ロジックを持つことがある。
      • PresentationalComponentsとContainerComponentsを分ける。

    得た恩恵

  • Atomic designの区分が明確化
  • atoms/moleculesの再利用性・拡張性の担保
  • organismsのUIと業務ロジックの責務をコンポーネント単位で分離

  • 全体を通してどこに何を実装すべきかが判断できるようになり無理な実装が生まれない仕組みを実現できました。

    おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    上記のコンポーネント開発の構成がどのプロジェクトでも上手く行くとは限らないですが、何か1つでも参考になる箇所があれば幸いです。私の所属するHRテック事業部は発足してまだ日が浅く、プロダクトの状況も0-1フェーズにあります。なのでこういったどういう構成で開発を進めるべきかなどを検討・決定していける機会が多いです。この記事をご覧になり、この事業部を一緒に盛り上げてみたいなと思う方が1人でも増えれば嬉しく思います!(詳しくはこちら

    エンジニアが事業戦略の実現のために認証基盤システムを構築した話

    はじめに

     こんにちは、レバレジーズ株式会社エンジニアの住村です。 現在、私が開発に関わっているレバテックでは、IT人材向けのフリーランス事業を開始してから成長フェーズを経て、2022年現在では市場のトップシェアを獲得しています。

    レバテックでは、今後も市場のトップシェアを取り続け、トップであることを活かしてエンジニア業界を主導して流れを作り、業界全体を良い方向に動かしていくことを目指しています。そのためには、エンジニアも目先の開発だけに囚われず、職種も超えて協力して事業を創っていく必要があります。

    今回は、認証基盤システムの開発を通じて、エンジニアが今後の事業戦略を支えるためのシステム開発をどのように進めたかの事例を紹介していきたいと思います。

    導入背景

    レバテックの事業戦略

     レバテックでは、フリーランス・正社員・未経験からのスタートなど、さまざまな形で職を探しているエンジニア・クリエイターと企業のマッチングを支援しています。

    レバテックのサービス一覧

     一度サービスを利用したら終わりではなく、プログラミングを学ぶフェーズ(カレッジ)から、就職(ルーキー)・転職(キャリア)といったサービスを継続的に受けることが可能です。過去の蓄積データを元にエンジニアはより充実したサービスを受けることができます。エンジニアをターゲットとしたサービスを提供している関係上、ユーザーの行動に合わせて当初とは異なるサービスを提供することもあります。

    サービスの利用イメージ

     また、継続して顧客に利用してもらうことでファン化を促進し、顧客生涯価値(LTV)を高めるだけでなく、サービスの情報を知り合いのエンジニアに紹介してもらう、新規に展開する別サービスの潜在顧客になるなど、今後のマーケティング活動にも繋げることができます。 今回は、この「ユーザーに継続してサービスを使い続けてもらう」事業戦略を実現するために、根幹となる認証基盤システムを構築していきました。

    システム課題

     前述の事業戦略の実現にあたり、1つのサービスを利用したユーザーがその後も別のサービスをシームレスに利用し続けるためには、システムに大きな課題が存在しました。

    それは、これまでのレバテックでは各種サービスが使い切りのビジネスモデルであったため、システムもサービスの開始に合わせて都度構築していたことです。

    既存システム構成

     その際、認証機能も新規システムを構築する度に作成し、そのシステム内でのみ管理しているため、ユーザーはレバテックの別のサービスを利用する度にアカウントを作成しなければなりませんでした。 また、同じ処理を別々のシステムで開発していたために無駄な開発コストがかかっていたのも事実です。それ以外にも、あるサービスではSNSログインが使えるが別のサービスではEmail/PWでしかログインできない、パスワードに使える文字列の長さや種類が異なる、といったように認証要件も統一されていませんでした。

    既存システム課題

     今後の事業戦略を実現するため、シームレスにサービス間を利用できるようにするにはこれらの問題点も解消する必要がありました。 そのため、レバテックでは共通の認証基盤を作成し、既存サービスの認証方法を統一する判断に至りました。

    今回の構成

    技術選定理由

     今回のシステムを構築するにあたり、前述の事業戦略からサービス間を横断的にアクセスできる必要性があるため、まずサービス間でのSSOログインを実現する必要がありました。 SSOログインの実現にあたり、大枠の方針としてはAuth0やCognitoやFirebaseといった外部サービスを利用するか、各システムで認証プロセス管理するライブラリを用意するなどの自社で開発するかの2つが選択肢として挙がりました。 SSOログイン機能を開発するには大きく分けて認証プロセスの管理と認証情報の管理の2つの機能が必要です。

     今回は認証プロセスに独自仕様がないことと、実装コストを削減するために外部サービスのALBの機能を利用しました。 その上で、認証情報の管理は既存システムからの移行やアカウントの統合といった独自仕様があったため、独自で実装する選択を取りました。 また、認証プロトコルにはALBでサポートされておりセキュリティ信頼性の高いOpenID Connect(OIDC)を採用しました。

    ALB

    認証プロセス

    認証プロセス

     今回の構成では、 ・クライアントのログインセッションの管理 ・セッションの状態に応じたログイン画面への振り分け ・認証成功時のアクセストークンの管理 ・認証が完了したセッションへのJWTの発行 などの認証プロセスの管理をALBへ任せています。

    ALBを利用しない場合はこれらをサイトで管理する必要がありましたが、今回の構成ではALBが管理するため、共通認証基盤の利用に必要な対応が大幅に削減できます。 そのため、既存のサイトはJWTの有無で認証状態を、JWTを検証してどのユーザーがアクセスしているかチェックするだけで良くなります。認証の仕様はOpenID Providerが共通で持っているため、認証仕様を一元管理することで全てのサイトで認証のセキュリティレベルを統一できます。

    新規サイト構築時

     他にも新規にサイトを構築する場合、共通の認証基盤を利用するにはALBの設定を追加すれば、後はJWTの検証の仕組みを入れるだけで済みます。 これにより、今後の事業展開でサービスを増やす場合のハードルを大きく下げることができました。

    思わぬ落とし穴

     今回構築を行い、分かった点ですが、ALBを利用する場合は認証プロセスを15分以内に完了しない場合はALBから401エラーがクライアントに返却される仕様がありました。 これに関してはAWSの公式Docにも記載がありますが、このタイムアウトの期間は変更も削除もできない仕様になっています。 今回はアプリ側でタイムアウト期限を過ぎる場合の挙動を制御することで対応しましたが、ALBでタイムアウト時の遷移先が制御できると嬉しいですね。

    おわりに

     今回の記事では、レバテックの今後の事業戦略と、実現に必要なSSOログインの認証基盤システムをどのように構築したかについて紹介しました。 レバレジーズでは、今回の事例のように短期的な開発だけでなく事業の長期戦略に必要なシステムをエンジニアが主導して進めることができます。 それは、事業の方向性議論にエンジニアも参画するためです。

     レバレジーズでは、エンジニアとしてシステムの開発だけでなく、事業の未来を考えサービスを創っていくことに意欲のある仲間を募集中です!ご興味のある方は、以下のリンクから是非ご応募ください。 https://recruit.jobcan.jp/leverages/

    第一回テックフェス 〜テックトーク編〜

    はじめに

    こんにちは、2022年度新卒でレバレジーズ株式会社に入社した河原です。

    現在私は、若年層領域の事業を展開する『ハタラクティブ』や『キャリアチケット』というサービスで、営業職が使用するSFA開発*1に携わっています。 機能の多いSFAでの開発業務や業務・業界理解など難しいことが多いですが、営業職の社員が同じ職場にいて、日々私たちが開発したシステムを使って仕事しているところを見かけると、とてもやりがいを感じられます!

    本記事では、先日行われたレバレジーズエンジニア組織テックフェスでのテックトークセッションの内容をご紹介します!また、私が従事しているSFA開発にどうすれば活かせるかを考え、クラウドコンテナサービスの調査・検証してみました。

    テックフェス

    テックフェスは、レバレジーズのエンジニア組織メンバー全員を対象としたテクノロジーの祭典です。弊社エンジニアの技術力を向上させ、より良いサービスを世の中に提供できるようにするために企画されました。

    今回、記念すべき第一回目のテックフェスは、以下のようなタイムスケジュールで行われました。

    テックトーク

    今回は、テックフェス後半で行われたテックトークでの内容をご紹介したいと思います。

    テックトークのコーナーでは、各事業部のシステム開発を行う開発チームリーダークラスのエンジニアが、開発を通じて得られた経験のふりかえりや技術の活用法についての話を5〜10分の時間でプレゼンしました。テックトークのタイトルは以下の通りです。

    テックトーク - トークテーマ一覧

    インフラリソースや関数型言語など技術にフォーカスした話から、事業部側と密に連携する開発体制についてなどレバレジーズの開発組織ならではの話もあり、短い時間ながらもとても役に立つ内容でした!

    テックトークの内容を開発に活かしてみたい!

    今回のテックトークに刺激を受け、私のチームのシステム開発に活かしてみたい!という気持ちが生まれました。私は様々なトークテーマの中から、現在の私の開発に活かせるものがないかを模索しました。

    開発チームリーダーにSFA開発の現状を確認したところ、以下のようなインフラの構想があることがわかりました。

    • 現状:開発環境のみオンプレミスサーバーで作業している
    • 今後:Docker・Github Actions・クラウドコンテナサービスを利用した自動デプロイ環境を構築したい

    しかし、この環境構築の担当エンジニアは決まっておらず技術調査もあまり進んでいない状況でした。

    そこで、テックトークでの『Cloud Runへのデプロイ自動化が簡単で脳汁が出てしまった話』の内容をさらに深ぼり、クラウドのコンテナリソースについて調査・検証してみました!

    技術調査・比較

    テックトークは主に以下のような内容でした。 Cloud Runを使えばコンテナの自動デプロイが簡単に行えるそうです。 コンテナはベンダーロックインされない特徴を持ち、昨今のマイクロサービスアーキテクチャの実現には不可欠な仮想化技術です。

    テックトーク - GCP Cloud Runの説明抜粋

    本当に簡単にデプロイやCI/CDが設定できるのでしょうか?また、他にはどんなコンテナリソースがあり、それぞれの違いは何があるのでしょうか? その違いを知っておきたく思い、クラウドサービスを調査してみました!

    テックトークの内容はGCPであり、普段の開発ではAWSを使っていることから、2つのクラウドサービスに対して調査を行います(ちなみに私はコンテナリソースに関してはほぼ無知な状態でした…)。調査した内容をカテゴリ分けすると以下のようになります。

    AWS*2 , GCP, OSS*3の比較

    上記のように、同じサーバーレスコンテナリソース同士にも細かな違いが存在するそうですが、それはどのような箇所なのでしょうか? 調査を一通り終え、それぞれのコンテナリソースの違いが大まかにわかってきたところでGCP・AWSのコンテナリソースを簡単に検証してみます!

    コンテナ自動デプロイ環境構築

    今回は、以下の2つのクラウドサービスを用いて検証を行います。

    • GCP:Cloud Run + Cloud Build
      • フルマネージド型コンテナデプロイサービス
    • AWS:ECR + ECS + Fargate
      • フルマネージド型コンテナオーケストレーションサービス

    GCPのCloud Runは今回のテックトークで登場し、その手軽さを実感したいと思ったため選択しました。AWSにはCloud Runに似たサービスとしてApp Runnerがあります。App Runnerの設定や機能はCloud Runとほぼ同様のため、コンテナリソース間の違いをあまり実感できないのではないかと思い、今回はApp Runnerより少し複雑な設定や調節が可能な『ECR + ECS + Fargate』を使って検証してみます。

    また、今回はクラウドサービスの比較検証がメインであるため、WebサーバーであるNginxを使った簡単なコンテナ環境で動作確認を行います!下記構成でGithubに登録した状態で検証スタートです!

    .├── Dockerfile
     └── html
          └── index.html
    

    【GCP】Cloud Run + Cloud Build

    まずは、テックトークでも登場したCloud Runを使ってみます。GCPのコンソール上の簡単な操作で自動デプロイ設定が可能なようです。実際に試してみましょう!

    GCPにProjectを作成し、Cloud RunとCloud BuildのAPIを有効にします。テックトークで説明された項目を作成したGithubのリポジトリで設定していきます。

    今回は、master branchのコンテナをデプロイする設定にしてみました

    次に作成するコンテナの設定をしていきます。今回は検証なのでユーザー認証の設定はせず、リクエストの処理中のみコンテナを起動する設定にしてみます。

    設定が終わり、GCPがコンテナの準備を始めます。

    数分待つと、Cloud Runでコンテナが起動

    作成されたコンテナはhttpsで自動にルーティングされます。 URLにアクセスするとGithubにpushしたコードがデプロイされていることが確認できました。本当に簡単ですね…。

    作成したNginxコンテナ

    次にCD(Continuous Deployment:継続的デプロイ)の設定をしていきます。 コンソールの「継続的デプロイの編集」を押し、以下のように編集していきます。今回はmasterブランチへpushされたイベントでコンテナがデプロイされる設定を行ってみました。

    試しにコードに、簡単なcssと画像を追加し、Githubにpushしてみます。 すると、そのイベントを検知し、デプロイが始まります。

    しばらくするとコンテナが起動し、変更を確認することができました。CDの設定まで非常に簡単にできてしまいます。

    【AWS】ECR + ECS + Fargate

    次は、AWSのコンテナ用サーバーレス環境のFargateを使って、ECRとECSでコンテナをデプロイしてみます。

    ECSはフルマネージド型コンテナオーケストレーションサービスと呼ばれており、Cloud Runよりも設定や導入は複雑ですが、その分高度な設定やコンテナ同士の連携が可能になります。FargateはECSやEKS用のサーバーレス環境であり、AWSユーザーはEC2のようなホストマシンの複雑な設定が必要なくコンテナを運用できます。

    GithubとECRを連携させるために、Github Actionsの設定を行います。

    初めにAWSのIAMで『AmazonEC2ContainerRegistryPowerUser』のポリシーを設定したユーザーを作成し、アクセスキーを発行します。発行したアクセスキーペアと、あらかじめ作成したECRのリポジトリ名をGithub>Setting>Secrets>Actionsに設定しておきます。

    次に作業ディレクトリにて、.github/workflows/main.ymlを以下のような内容で作成します。今回は「tech*」というtagのpushイベントをトリガーにECRにデプロイされるように設定しました。

    name: Push and Deploy ECR
    
    on:
      push:
        tags:
          - tech*
    
    jobs:
      build-and-push:
    
        runs-on: ubuntu-18.04
        timeout-minutes: 300
    
        steps:
        - uses: actions/checkout@v1    
    
        - name: Configure AWS Credentials
          uses: aws-actions/configure-aws-credentials@v1
          with:
            aws-access-key-id: ${{ secrets.AWS_ACCESS_KEY_ID }}
            aws-secret-access-key: ${{ secrets.AWS_SECRET_ACCESS_KEY }}
            aws-region: ap-northeast-1
    
        - name: Push to Amazon ECR
          id: login-ecr
          uses: aws-actions/amazon-ecr-login@v1
    
        - name: Build, tag, and push image to Amazon ECR
          env:
            ECR_REGISTRY: ${{ steps.login-ecr.outputs.registry }}
            ECR_REPOSITORY: ${{ secrets.AWS_ECR_REPO_NAME }}
          run: |
            IMAGE_TAG=$(echo ${{ github.ref }} | sed -e "s#refs/tags/##g")
            docker build -t $ECR_REGISTRY/$ECR_REPOSITORY:$IMAGE_TAG .
            docker push $ECR_REGISTRY/$ECR_REPOSITORY:$IMAGE_TAG
    

    tagをつけてGithubにpushしてみます。するとGithubでBuildされ、AWSへのデプロイが開始します。

    Github ActionによりAWS ECRへデプロイ
    ECRへイメージがデプロイされていることがわかります

    ECRにあるリポジトリのイメージURLをECSでタスク定義として設定し、クラスターで作成したサービス内でタスクを実行してみます。

    デプロイされたECRのイメージを設定
    ここでFargateを選択

    ECRにデプロイされたイメージを、自動でECSコンテナとして起動させるためには、別でさらにAWS CodePipelineを使用して設定する必要があります。今回はそちらは省かせていただきます。

    起動したタスクで発行されたパブリックIPにアクセスすると、無事Github Actionsのイベントでpushされたimageのコンテナを確認することができました。

    比較

    ここまで技術調査・検証をしてきましたが、クラウドサービスにはたくさんのリソースがある中で、結局、どのリソースを使えば良いのでしょうか?

    私の感想としては、今回検証に使用したような非常に簡単なアプリケーション構成で「とりあえずコンテナのデプロイやCI/CDを試してみたい!」というニーズにはCloud Runが適しているなと思いました。 しかし、本来の開発のような、複数のアプリケーションが連携しているシステムで詳細な設定がしたい場合は、FargateやEC2が選択できるECSも選択肢になると感じました。

    また、この疑問に対して、GCPの公式の記事では、以下の図でまとめています。

    参考:https://cloud.google.com/blog/ja/topics/developers-practitioners/where-should-i-run-my-stuff-choosing-google-cloud-compute-option

    管理工数の少ないコンテナの場合、インフラへの考慮を最小限にとどめることで属人化を防ぎ、エンジニアはアプリケーション開発に集中できる利点により、モダンな開発に浸透している理由がわかります。しかし、サーバーレスで管理の少ない環境であるばあるほど、利用料金は高くなり、カスタマイズの幅が小さくなるといったトレードオフの関係にあります。

    開発現場における多種多様なシステム・開発体制に対して、それぞれのケースに適切なリソースを選定するためには、保守運用の人的コストや可用性・移植性等の品質面、また料金面などの複数の観点を考慮し、チームで意見を交え、リソースを選定していく必要があります。

    最後に

    今回は、新卒3ヶ月目の私が、先日のテックフェスで行われたテックトークの内容を現在の開発に活かせないか考え、クラウドサービスのコンテナリソースの調査・検証してみました!

    私も今回の調査・検証を経て、クラウドサービスのコンテナリソースやCI/CD・マイクロサービス化についての理解が深まりました。 今後、開発環境をクラウドでの運用に切り替えるタイミングが来れば、積極的に手をあげて環境構築に携わりたいなと思います。

    このようにレバレジーズでは年齢や経験に寄らずに、様々な開発の知識・経験が吸収できる環境があります。 若いうちからスキルをつけたい方や、熱意があるチームで毎日学びのあるチーム開発を行いたい方にはこれ以上ない環境だと思います。

    ぜひ、みなさんも一緒にサービスを作っていきませんか? レバレジーズに少しでも興味を持っていただけた方は、是非下記リンクを覗いてみてください!

    leverages.jp

    *1:営業業務の効率化を図り、売上や利益の向上を実現する営業支援システム、Sales Force Automationの略称

    *2:Amazon Web Services、AWS、Powered by AWS ロゴ、および資料で使用されるその他の AWS 商標は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です

    *3:DockerおよびDockerのロゴは、米国およびその他の国におけるDocker、Inc.の商標または登録商標です。

    大盛況!? 第一回テックフェス 〜テックバトル編〜

    はじめに

    みなさんこんにちは!現在、内定者インターン中の内藤です。
    本日は、先日レバレジーズで行われ予想以上に(失礼)大盛況だった「第一回テックフェスのテックバトル」についてお話しします。

    この記事を通して、レバレジーズのエンジニア組織の風通しの良さを少しでも感じてもらえると嬉しいです!

    そもそもテックフェスとは?

    テックフェスとは何なのか簡単にお話しします。
    テックフェスは、レバレジーズのエンジニア組織メンバー全員を対象としたテクノロジーの祭典です。弊社エンジニアの技術力を向上させ、よりよいサービスを世の中に提供できるようにするために企画されました。

    今回、テックフェスは記念すべき第一回を迎えました🎊
    その記念すべき第一回目は、以下のようなタイムスケジュールで行われました。

    テックバトル

    テックバトルでは、3人1組チームに分かれ、コーディングの「正確さ」と「速さ」を競うコーディングバトルを行いました。 コーディングバトルってやっぱりエンジニアならではで楽しいですよね!

    では、早速今回のテックバトルで扱った問題を見ていきたいと思います!

    問題概要

    今回のテックバトルの問題は、以下の3つの実装を各人が担当し3人で協力して一つのものを作るという内容でした。

    ※ 今回、企業数と候補者数は同じ( n=1000)であるとします
    ※ この安定マッチングとは、企業と候補者、共に現在組んでいるペアよりも希望順位が高いペア(以降では、ブロッキングペアと呼びます)が存在しない状態を指します

    テックバトルの問題に挑戦!

    上記でも少し触れた通り、この問題の肝はCさんであり、Cさんが如何にこのプログラムを実装するかにチームの命運がかかってます笑

    今回、企業(候補者)数  n に対して、全組み合わせを力任せで調べるBrute-Forceアルゴリズムを用いると計算量は  n ! になります。 n が小さい値の時はまだマシですが、 n=1000 ともなると計算量があまりに膨大になってしまうので、このような時はアルゴリズムの知識が重要になりますね!

    今回の問題で活躍するのは、Gale-Shapleyアルゴリズムというもので、このアルゴリズムを用いると計算量は  O(n^2)で済ませる事が出来ます。恐ろしいほど強力ですね!😲

    Gale-Shapleyアルゴリズム

    今回の問題で重要なのは、如何にしてブロッキングペアの存在しない安定マッチングを実現するかという点です。
    Gale-Shapleyアルゴリズムは以下のようにして、安定マッチングを実現します。

    では、アルゴリズムを確認したところで、実際にコードを書いてみましょう!

    実際に書いてみた!

    今回は、Aさん, Bさんの実装は置いておいて(ごめんなさい笑)、CさんのGale-Shapleyアルゴリズムに該当する部分のプログラムをpythonで書いてみました。
    (pythonにしたのは、自分が日頃業務とは別に使うことが多いからです)

    今回使う変数は以下の7つです。

    # 初期に与えられている変数
    n : 企業(候補者)数  ... 今回、企業数と候補者数は同じ数とします
    corps : 企業のリスト ... ['A', 'B', 'C', 'D', 'E'] のような形
    candidates : 候補者のリスト ... ['a', 'b', 'c', 'd', 'e'] のような形
    corp_desire_order : 企業の希望順位リスト ... {'A': ['b', 'e', 'd', 'c', 'a'], 'B': ['c', 'a', 'e', 'd', 'b'],}...のような形
    candidate_desire_order : 候補者の希望順位リスト ... {'a': ['B', 'D', 'A', 'E', 'C'], 'b': ['C', 'A', 'D', 'E', 'B'], ...}のような形
     
    # 最終的に出力する変数
    corp_to_candidate : 企業と候補者のマッチングリスト ... {'a': 'D', 'b': 'C', ...}のような形
    candidate_to_corp : 候補者と企業のマッチングリスト ... {'D': 'a', 'C': 'b', ...}のような形
    

    この7つの変数を基に、プログラムを書くと以下のようになります。

    def gale_shapley(corps, candidates, corp_desire_order, candidate_desire_order, corp_to_candidate, candidate_to_corp):
       # 1. 候補者とマッチングしてない企業1社が、希望順位が一番高い候補者にマッチングを申し込む
       for corp in corps:
           if corp not in corp_to_candidate: free_corp = corp
       candidate = corp_desire_order[free_corp][0]
     
       # 2-B. 1で選ばれた候補者がマッチング中であった場合、現在マッチング中の企業とマッチングを申し込まれた企業の希望順位を比較する
       if candidate in candidate_to_corp:
           another_corp = candidate_to_corp[candidate]
          
           # 2-B-b. もし、マッチングを申し込まれた企業の方が希望順位が上なら、候補者は現在のマッチングを解消し、マッチングを申し込まれた企業とマッチングをする
           if candidate_desire_order[candidate].index(free_corp) < candidate_desire_order[candidate].index(another_corp):
               del corp_to_candidate[another_corp]
               corp_to_candidate[free_corp] = candidate
               candidate_to_corp[candidate] = free_corp
               corp_desire_order[another_corp].pop(0)
     
           # 2-B-a. もし、現在マッチング中の企業の方が希望順位が上なら、候補者はマッチングを申し込まれた企業を断る
           else:
               corp_desire_order[free_corp].pop(0)
      
       # 2-A. 1で選ばれた候補者がマッチングしていなかった場合、候補者は企業からの申し込みを承諾する
       else:
           corp_to_candidate[free_corp] = candidate
           candidate_to_corp[candidate] = free_corp
    
    # 3. 1~2を全ての企業と候補者がマッチングするまで繰り返す
    while len(corp_to_candidate) < n:
       gale_shapley(corps, candidates, corp_desire_order, candidate_desire_order, corp_to_candidate, candidate_to_corp)
    

    書いてみると意外とシンプルですよね。
    皆さんも是非他の言語でチャレンジしてみてください!

    最後に

    今回、テックバトルを通して、「新しいアルゴリズムを知れたから良かった!」というよりは、エンジニア同士の交流が何よりも貴重で楽しかったです笑

    レバレジーズのエンジニア組織は、技術力だけではなく、今回のイベントのようなエンジニア同士の交流も大事にする組織です。日頃からこのようなイベントを行うことで部署間の壁がなく、気軽に悩みを相談出来る環境が常に整っており、とても働きやすいと日々感じています!

    皆さんもこんなレバレジーズで一緒に働いてみませんか? レバレジーズに少しでも興味を持っていただけた方は、是非下記リンクを覗いてみてください!


    leverages.jp

    新卒1年目のエンジニアがUX改善のPDCAを構築し、1年間でCVRを13%改善した話

    はじめに

    こんにちは。21年新卒の益子です。現在私は、看護業界に特化した人材サービス「看護のお仕事」において、求人サイトのUX改善やそれに伴うシステム開発、ディレクションに携わっています。

    看護のお仕事では、サイト改善において指標となる定量データだけでなく、「看護師さんにとっての使いやすさ」などの定性データも重視して改善を進めています。

    このようなサイト改善の取り組みに対しては、事業部としても知見が浅く、常に手探りの状況でしたが、私はユーザビリティテスト・デプスインタビューなどのUXリサーチやその結果を元にした改善施策の立案・実装・効果検証までを一貫して担当し、1年間でCVR(※1)を13%改善しました。

    (※1). Webサイトへのアクセス数、またはアクセスしたユーザー数のうち、コンバージョンに至った割合を示す指標。転職エージェントサービスが運営する求人サイトの場合、求人応募やサービス登録に至ったユーザーの割合を示す。

    この記事ではエンジニアとして新卒入社してからUX改善に取り組み始めたきっかけ、取り組みの中でぶつかった壁、どのように問題を解決しCVR改善という成果に結び付けたかについてまとめたいと思います。


    きっかけは「ユーザーが迷いながら求人を探している」現場に遭遇したこと

    私が求人サイトのUX改善に取り組み始めたきっかけは、ユーザビリティテストに同席した際に希望する求人を探せずに戸惑っているユーザーの様子を目の当たりにしたことでした。

    ユーザビリティテストでは被験者に対し「東京都渋谷区で、希望する条件に一致する求人を検索して表示して下さい」といったタスクをお願いし、モデレーターの目の前でタスクを実行してもらいます。被験者の実際の操作を通して、スムーズに求人を検索できるか、希望条件に一致する求人を絞り込めるかなど、ターゲットユーザーにとってのプロダクトやサイトの使いやすさを評価していきます。

    初めて同席したユーザビリティテストで見たものは想像と大きく異なり、「希望条件に対して、サイト上のどの絞り込み項目が適切なのか迷っている」「絞り込み条件を増やしすぎてしまい希望する求人を見つけることができない」というユーザーの様子でした。

    私はこの体験を通し「どれだけ努力して実装してもユーザーにとって使いにくいようでは無意味。看護師さんにとって使いやすい求人サイトを作るために開発業務以外もできるようになりたい。」と思うようになりました。


    求人サイトのUX改善を進めるため、自ら提案して3つの取り組みを開始

    ユーザーにとって使いやすいプロダクトを作るためには、改善施策の全ての議論をユーザー起点で行う必要があると考えました。さらに具体的に言うと、サイト改善に関わるメンバー全員が、架空のユーザー像を元に議論し合うのではなく、実際にユーザーに触れて得た一次情報を元に議論できる状態になる必要があると考えました。

    ユーザーの一次情報から議論を行えるチームになるため、以下の3点を提案し、チームで実行しました。

    1. デプスインタビューを実施し、看護師転職において求人サイトがどのように使われているのかを調査する

    まず看護師転職の課題について解像度を上げるためにデプスインタビューを行いました。

    デプスインタビューとは、特定テーマについて対象者と1対1でインタビューを行う定性調査手法です。対象者の表面的な行動・思考だけではなく、行動・思考の背景にある事情や、対象者ですら言語化できていない課題を明らかにすることができます。

    デプスインタビューでは、調査したいテーマに合わせた対象者の選定が調査の成果を左右します。私たちは調査結果を求人サイトの改善施策に落とし込みたかったため、「転職検討中であるが、転職エージェントサービスの利用経験がない人」を対象とし、5名に対し調査を実施しました。

    転職エージェントサービスの利用経験がある人は、求人サイトの使いやすさよりも、過去の利用体験を検討材料としてサービスを判断する可能性があります。そのため、転職エージェントサービスの利用経験がない人にインタビューを実施することで、転職を通して得たいものに対し、どのように求人サイトを利用するのか・転職サービスに何を期待するのかを明らかにしようと試みました。

    2. オープンタスクでユーザビリティテストを行い、現状のサイトを再評価する

    デプスインタビューを通して得られた示唆は大きく2点でした。1点目は転職を通して得たいものやその理由、2点目は求人サイトを「単純な求人検索ツールとして使用するのではなく、その求人サイトを運営する転職エージェントサービスを比較するために使用している」という実態です。

    その示唆に対し、オープンタスクでユーザビリティテストを行い現状のサイトを再評価しました。単純にタスクをお願いして実行してもらうのではなく、「このページではどのような情報が得られましたか?」「次はどのように操作したいと思いますか」「サイトを離れた後は何をしたいと思いますか?」というオープンタスクでサイトの評価を行いました。

    これにより「なぜページ内のコンテンツが読み飛ばされているのか」「なぜ特定のボタンが頻繁にクリックされるのか」など、なぜユーザーはこのように操作するのかというところまで定性データを収集することができました。

    3. 改善施策の起点となる仮説を、ユーザーを起点にして言語化する

    デプスインタビューやユーザビリティテストでユーザーに対する解像度が高まり、チーム内で改善施策の議論が活発になりました。

    その議論を”ユーザー起点”という観点で質のよいものにするため、「タスク管理ツールに改善施策案を起票する際、ユーザーを起点に仮説を言語化する」というルールを作り、徹底しました。

    具体例を挙げると「求人応募ページの応募ボタン文言が〇〇であることにより、ユーザーは違和感を覚えて求人応募を完了することができないのではないか」という起票内容です。

    このルールを履行することで、改善施策においてユーザーを軸に仮説を立てることが仕組み化され、常にユーザーの一次情報を材料とした議論を行うことをメンバー全員に定着させることができました。


    施策リリース後にぶつかった「ABテストで悪化傾向が出た時に仮説が途切れてしまう」という問題

    前述の3点の取り組みにより、サイト改善における議論の質が高まりました。しかし、いくら議論を重ねても、すべての施策で改善傾向が出るとは限りません。

    実際に、チームメンバー全員で考え抜いた施策をリリースした際、CVRの悪化傾向が出てしまったことがありました。

    サイト全体のコンバージョンへのインパクトが大きい求人詳細ページのUIを大幅に変える施策を打ち出した時のことです。プロトタイピングでのユーザビリティテストを何度も実施しながら施策内容のブラッシュアップを重ねていたものの、実際に施策をリリースしてABテストを実施したところ、CVRが大きく悪化する結果が出てしまいました。

    インタビューやユーザビリティテストを重ねながらメンバー全員で考え抜いて打ち出した施策だったため、各数値指標の悪化を目の当たりにした時には、次の打ち手を見失う状況に陥りました。


    問題を解決するために、リリース直後から定量・定性両方のデータで施策を振り返る

    この状況に陥った根本的な原因は、定性データから打ち出された施策効果を検証する仕組みが整っていなかったことでした。

    Aパターン・BパターンそれぞれのCVRの結果や各ページの遷移率などの定量的な施策効果の検証に関しては以前から仕組み化されていましたが、「施策内容によってユーザーの操作はどのように変化したか」「なぜ変化したか」といった定性的な施策効果を検証する仕組みはなく、1から構築する必要がありました。

    私はこの状況を改善するため、リリースした施策を定量・定性両方のデータで検証することを提案し、チームメンバーで実行に移しました。UI上、施策の要点となるすべての箇所にクリックログを実装してクリック率やその後のコンバージョンを計測しながら、ユーザビリティテストも並行して実施し、操作の背景にあるユーザーの心理を探るという検証方法です。

    これにより施策の仮説が途切れることがなくなり、1つの仮説から後続施策・新しい仮説が生まれる状態を作ることができました。

    前述した求人詳細ページのUIを大幅に変える施策も、定量・定性両方のデータで検証することで、求人応募ページへ遷移するボタンが致命的な悪化要因となっていたことを発見することができました。その後の追加施策でボタン部分を改修し、98%以上の有意差でマイクロコンバージョンの完了率を29%改善することができ、CVRを向上させることができました。


    結果、どのような変化があったか

    これらの取り組みを継続した結果、ユーザーを起点とした施策立案・施策のリリース・定量と定性の両方を駆使した効果検証・追加のブラッシュアップ施策の実行まで、UX改善のPDCAサイクルを回すことができるようになりました。

    その変化は数値成果に表れ、1年間で最重要指標であるCVRを13%改善することができました。

    また、UX改善のPDCAサイクルは途切れず、施策の確度も向上しています。施策立案においてはこれまでに実施していなかった新しい定性調査手法やヒューリスティック評価を取り入れ、施策実行においては開発メンバーが着手優先度を柔軟に調整することでABテストの実行数が増加しています。

    サイト改善に関わるメンバー全員が、前年度以上の成果を出そうとモチベーション高く取り組んでいます。


    終わりに

    昨年度一年間の取り組みは、自分自身の今後にも大きな変化を与えたと思っています。

    開発職として入社したものの、「ユーザーが迷いながら操作している」という現場に遭遇したことで、それまで実務で取り組んだことがなかった「UX」という分野に取り組むきっかけができました。

    また開発業務の枠を超えて、リサーチ・施策立案・施策の実装とリリース・効果検証の全てのプロセスで提案と実行を行う中で、レバレジーズが顧客体験の改善という観点で優れているところ・未熟なところの両方が見えてきました。

    上記の経験を通し「エンジニアでありながらマーケティング分野にも職域を広げたい」という思いが「レバレジーズの顧客体験の改善を自分が牽引できるようになりたい」という思いに変わりました。それを実現するために業務内容も少しずつ変わり、昨年度はマーケターが持っていた「UX改善によるCVRの向上」というミッションが、今年度からは自分のミッションとして与えられました。

    レバレジーズには社員一人ひとりが事業や担当業務の課題を見つけ、新しい取り組みを提案する・責任をもって実行するという行動を評価する文化があります。そこには年次はもちろん、職種の枠も関係なく、その文化があったからこそ自分の目標に近づくための働き方ができていると感じています。

    レバレジーズには事業やプロダクトの成長に、開発の職域を超えて取り組んでいるエンジニアが多く在籍しています。開発職として技術を磨きつつ、事業やプロダクトの成長に幅広く関わっていきたいという方は、カジュアル面談などでレバレジーズのエンジニアと話してみませんか?きっと面白い発見があると思います。

    ご興味がある方は是非こちらからエントリーをお願いします!


    leverages.jp

    未経験インターンが新規事業に飛び込んで 1年半でリーダーになるまで

    はじめに

    この記事では、未経験から短期間でリーダーになるためのマインドセットをご紹介したいと思います。
    僕のように未経験でエンジニアになる方、リーダー経験を若いうちに積みたい方には、ぜひ読んでいただきたいなと思っております!

    自己紹介

    初めまして、エンジニアの五十嵐です。
    僕は、2020年10月からレバレジーズで内定者インターンを開始し、2021年4月に入社してから現在に至るまでHRテック事業部という新規事業の部署に所属し、SaaSの開発を行っております。

    学生時代は、小、中、高、大学とサッカーに青春を費やしてきたスポーツ少年でした。 大学では、情報系や理系の学部に所属していた訳ではなく、文系の商学部に所属していたので、Webエンジニアとは無縁の学生時代を過ごしておりました。
    入社前は、自分で家計簿アプリやTwitterの模倣アプリ、シフト管理アプリなどを作ったり、Paizaなどでアルゴリズムを考える問題を解いたりしていた程度でした。

    なぜエンジニアに?

    きっかけは就職活動でした。
    様々な業界の仕事や業種、企業を知りたかったので、金融系や日経大手の企業など幅広く受けていました。
    多くの企業や業界を見ている中で、ITのWeb業界に興味をもち、様々な人と会って話を聞いていくうちにエンジニアという道もあることを知りました。
    そして、エンジニアの働き方や仕事内容などに興味をもち、実際に自分でプログラミングを学び始めたのがきっかけでした。

    新規事業に参画することに

    僕は、新しい物事や常に変化する状況に対してモチベーションを高く持って行動するタイプです。レバレジーズ選考時にその旨を会社側に伝えていました。
    内定後は、すぐにでも実務の経験を積みたいと考え、内定者インターンの希望を会社に出していました。
    内定者インターンをするに当たってどの部署で働きたいかを人事と面談している時に、新規事業が動き出している話を聞き、やってみないか?という提案をもらいました。

    僕は、裁量権があり、幅広い経験ができる会社だと思ったからこそレバレジーズの内定を承諾しましたが、まさかこんなにすぐにチャンスがくるとは思わず驚きました。
    こんなチャンスはもしかしたら2度と来ないかもしれないと思い、新規事業でインターンをしたい!と伝え、参画することになりました。

    業務内容

    業務として経験したことは以下になります

    • 要件定義
    • 基本設計・詳細設計
    • 実装
    • テスト
    • UI/UXに対する提案

    使用技術は以下になります

    • FE

      • TypeScript
      • React
      • Apollo Client
    • BE

      • TypeScript
      • PHP
      • Laravel
      • Lighthouse
      • NodeJS
      • NestJS
      • GraphQL
      • Apollo Federation
      • PostgreSQL
      • Docker
      • Redis
    • Infra

      • GCP
      • Firebase
    • external-service

      • SendGrid
      • Auth0

    0からの開発かつ、初期メンバーは5人だったので、インターン生であっても上流工程から下流工程まで経験させてもらいました。 バックエンドを主に担当し、GraphQLでAPIの開発をマイクロサービスアーキテクチャで行っていました。

    設計や開発を行う中で、未経験の僕が意識したことが以下の3つになります。

    • チャレンジしてどんどんアウトプットを出す
    • メンバーからの信頼を得る
    • サービスを俯瞰した提案を心がける

    1つずつ順を追って説明していきます。

    チャレンジしてどんどんアウトプットを出す

    当初はGraphQLを知らず、SQLの仲間かなとか思っていましたし、DB設計の知識も全くありませんでした。 そんな僕ではありますが、個人的に決めていたことがありました。

    それが、「わからないことを、すぐに質問をしないこと」です。

    僕の先輩が営業からエンジニアにジョブチェンジした方で、「とりあえずチャレンジしよ!」というポジティブでレバレジーズっぽい方でした。
    それに習って、僕もわからないことがあった場合でも、上司やメンバー、業務委託の方の設計書やコードをみて学んで、わからないことは調べて、自分なりのアウトプットを出していました。
    アウトプットを出すことで自分の考えも整理でき、レビューで指摘された場合でも意見を伝えることができていました。
    このやり方は、インターン開始当初はタスク消化の遅延を出してましたが、その時に吸収されたものが数ヶ月後になって活きてくるようになり、徐々にスピード感を持って業務を行えるようになっていきました。

    なので、このブログを読んでくださっている新人エンジニアの方はわからない技術や物事は自分で学んでどんな形であってもアウトプットを出すことをオススメします。

    メンバーからの信頼を得る

    先輩と1on1を行っている時、何か個人的な目標を作ると良いとアドバイスをもらい、1年間の目標として「困った時は五十嵐」という立場になることを設定していました。
    そして、その状態はどんな状態を指すのか考えた時に、誰よりもサービス全体の理解と使用技術の理解をしている状態だと考えました。

    そのために、僕は任されているタスクを完璧にこなすことはもちろんですが、業務以外の空いた時間や休日などを利用して以下のことを自主的にキャッチアップしていました。

    • サービスに関わるマイクロサービス8つ全ての仕様理解とデータ構造の把握
    • クリーンアーキテクチャの理解やそれに伴うSOLID原則の理解
    • GraphQLやNestJSなどのモダンな技術の理解のために個人的にアプリを作成

    これらのことは、「困った時は五十嵐」という立場になるためにやっていたことではありますが、新しい物事を学ぶことが楽しくて、つい時間を忘れてしまうこともしばしばありました。
    特にアーキテクチャ周りの勉強をする前と後ではサービスの見え方が変わりましたし、改善点も見えてきたのでスキルアップしたなという実感ができました。

    サービスを俯瞰した提案を心がける

    僕がレバレジーズを選んだ理由の一つが、早い段階でリーダー業務を経験したかったことが挙げられます。
    そのため、与えられた自分のタスクだけこなすのではなく、主体的に行動し関係する影響範囲を広げることで、自らのスキル向上とリーダーからの信頼獲得を意識していました。そしてその後、少しずつリーダー業務を任されるようになっていきました。

    具体的には以下の4点です

    • メンバーのサポート
    • タスクの作成、優先度付け
    • リリーススコープを考慮した意思決定
    • スクラムMTGのファシリテート

    この中でも、「リリーススコープを考慮した意思決定」の部分は早めに吸収してよかった点だったと思っています。
    なぜなら、メンバーの僕が見えている部分とリーダーから見えている部分が違うことがわかり、よりサービス全体が見れるようになったからです。

    リーダーは、より高い位置から俯瞰してサービス全体をみており、広い範囲の仕様を把握をして、様々な情報や観点から意思決定をしていました。
    なので、僕もリーダーに対して提案を行う時は、担当機能の仕様把握だけでなく、サービス全体の仕様とその影響範囲の把握をしてから提案をするようにしていきました。

    より俯瞰してサービス全体を考えた提案をすることでリーダーから信頼を得て、リリーススコープ内の仕様の選定や機能実装の際の意思決定を少しずつ任されるようになっていきました。

    読んでよかった本

    設計や実装時のわからない時にインプットのために読んでいた本がいくつかあるので紹介します。

    リーダブルコード

    単にコードを書くだけではなく、わかりやすく、そしてメンテナンス性の高いコードを書くために、気を付けたいことなどが書かれています。
    実践的なテクニックや心構えが中心で、例えば「どんな名前付けをした方が良いか」ということ等が紹介されています。

    現場で役立つシステム設計の原則

    わかりやすいソースコード、設計についてオブジェクト指向設計の特徴を生かしながら具体的に説明してくれる本となっています。
    実務で役立つような内容となっており、設計について完全に初心者でも、具体的な説明で設計に何が必要なのかを理解できます。

    アジャイルソフトウェア開発の奥義

    ソフトウェア開発の原則のSOLID原則などの設計についてやデザインパターンとケーススタディのコードが書いてあります。
    新人エンジニアには少々難しい内容ではありますが、知っているのとそうでないのではスキルアップに大きく差が出ると思うのでおすすめです。

    Clean Architecture

    この本は、いわゆる設計手法としての「クリーンアーキテクチャ」についての話かと思いがちですが、
    内容はアーキテクチャとは何か、どういった目的意識があるのかというアーキテクチャ全体の概念で、非常にためになる話が多くいくつも学びがありました。

    終わりに

    これらのことを意識して、ひたむきに業務やサービスに向き合っていたことで、入社2年目となる現在はリーダーを任せてもらっています。
    リーダーになってからは、開発業務以外に、チームのタスクの作成や優先度付け、上層部へのエスカレーション、メンバーのピープルマネジメント等も行っています。
    マネジメントの難しさに悩むことも多々ありますが、関連書籍で学んだり、上長などに相談するなどして自分の業務の幅を広げています。

    僕の経験でもわかるように、レバレジーズは経験や年齢で判断せずにチャンスを与えてくれる環境です。
    若いうちから様々なチャレンジをしたい方にはこれ以上ない環境だと思います。

    また、未経験で不安があった僕ですが、今では毎日学びの連続で、責任感はありつつも非常に楽しく働くことができています。

    ぜひ、みなさんも一緒にサービスを作っていきませんか?
    レバレジーズにご興味ある方は、こちらからエントリーお願いします!

    leverages.jp